大航海時代online Boreasサーバー  マルコの航海日誌


by Nijyuurou
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<   2007年 07月 ( 13 )   > この月の画像一覧

『ルフ鳥を追って』

 7月25日、アテネ。

 待ち人来たらず。

 私の前に置かれたギリシャワインの瓶だけがむなしく増える。
 
 今回の依頼は私一人では少々難しい。
 そこで、応援を頼んだのだが…海戦前ということもあり、向こうもいろいろと忙しいようだ。

 今回の依頼は、ルフ鳥の探索である。

 ルフ鳥はロック鳥とも言い、千夜一夜物語…アラビアンナイトで知られている。
 伝説の伝えるところによると、その鳥は象を一掴みにし、艦船すら打ち壊したという。

 無論、伝説である。

 だが、どんな伝説でも元となった鳥がいるはずで、それを探して欲しい、そういう話なのだ。
 正直、こういう話が一番厄介だ。

 目標がわかっていればそれについて情報を集めていけば足りるが、こういう話になると、調査するべきものは何か、というところから始めなくてはいけない。

 一人でやるより、腕の立つ同業者がもう一人欲しい。
 
 少々いらいらしながら、酒瓶を積み重ねているのはそのためだ。
 …正直、ワインはもう入らない。
 平気な顔で飲んでるのはドゥルシネアくらいだ
 ミュリネーにミルクを注文し、げんなりと啜っていると酒場のドアが開いた。
 チップ氏だ。
 
 この日の彼の姿は奮っていて、緑の絹のシャツに柔らかそうな毛皮のドガリーヌを合わせ、首からは新大陸のものとおぼしき翡翠の首飾りをかけていた。
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 まさに熟練の冒険者という出で立ちで、見るからに頼もしい。
 冒険者たるもの、身だしなみは大切だと思う…彼の横に並ぶと、私の格好も非常にみすぼらしいとは思うが…。
 
 実はチップ氏は以前から身だしなみには気を遣う男で、着ている服は今回のドガリーヌといい、以前のドルマンといい、贅沢な、それでいて品のいい服を選んできている。

 あの靴を履かない男に爪の垢を煎じて飲ませたいほどだ。
 
 ともあれ、頼りになる相棒を得て、まず最初の目的地であるアレクサンドリアへ。
 途中、
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 という疑問が…チップ氏曰く
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 とのこと。
 ちなみに、アラビア語ではアル=イスカンダリーヤという・・・いずれにしても『アレキサンダーの街』には違いないというわけだ。
 このアレキサンダー大王というのは非常に影響力のある男で、アレクサンドリアを始め、イスラム教のコーランにもイスケンデル=ズル=カル=ナインという名前で出ていたり、はたまたトルコで食べたヨーグルトのかかったケバブ(羊の焼き肉)はイスケンデル=ケバブという名前を付けられていた。
 どこまで本当なのかわからないが、その死から2千年程たった今でも我々の心を惹きつける魅力のある男には間違いない。

 …さてそのアレキサンダーの街で情報を集めてみたが…やはりアラビアンナイトから得られるものは少ない。
 
 ただ、どうもアラビアンナイトの他に『東方見聞録』にもそんな記述があったという話がでた。

 どうもセビリアの学者が詳しいらしく、私達は一路セビリアに向かう。
 途中、チップ氏が
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 と騒ぎ始める…。
 2000000ドゥカートほど持っていたようだ。
 …危険地帯でなくて良かった…。

 道すがら、船の本棚から東方見聞録を出してきて目を通してみる。

『形はワシに似ているが、それとは比較にならないほど大きい。翼は広げると15M・・』

 なるほど、これか…。 
 
 セビリアの学者に聞いてみると、どうもこの鳥はマダガスカル島に住んでいると言うことだ…。
 あの島はイヤと言うほど行ったり来たりしたが…まだそんな鳥が住んでいるとは思わなかった。
 さらに、小憎らしいモザンビークの街役人の顔を思い出し、少々うんざりしたがそれでも行かざるを得ない。
 
 セビリアを出て、喜望峰を目指す。
 
 途中、船が汚れてきたが、とたんにチップ氏から無情の宣告。

chipmunk>疫病になったら切りはなす
マルコ>一緒に地獄に行ってみないか!!!
chipmunk>生きるためじゃ 

 幸いロクサーヌがすぐに掃除をして事なきを得、また、その後本当に疫病が蔓延したが、やはりロクサーヌが素早く薬を配って事なきを得た…。
 いつも通りといえばいつも通りだ…。

 そして…結局到着したのはタマタブ…どうも肝心な情報を持っているのが、街役人らしいということが判明し、話を聞いてみるとやはり西マダガスカルの話だという。
 何故、西マダガスカルでの発見物は、わざわざ東マダガスカルのタマタブまで情報収集にこなくてはならないのだろうか…。
 
 釈然としないまま、西マダガスカルへ。
 タマタブを出ると、チップ氏は南へ舵を切った。

マルコ>チプさんは南回りがお好みか………
chipmunk>南のがいいんだよ、風がな
  
 私はいつも北に舵を切っている。
 最短距離のような気はするのだが………ただ、海賊の数を考えると、チップ氏の方が正解かもしれない。
 
 思ったよりもはやく現地に到着し、調査を行う。
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 確かに大きな鳥だった。
 ただ動きはのろいし…簡単に狩ることは出来る。
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 ちょうど食糧が尽きかけていたこともあり、一匹狩ってきたが、一匹で十分船員の食料をまかなえる…。 
 いい補給地点にはなりそうだが…何となく胸騒ぎがするのは、何故だろうか……。

 以前にも、こんな気持ちになったことがあった気はするが…。

 ともかく、ザンジバルについてガーダに報告を頼む。
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 …実は今回、移動も発見もチップ氏に頼りきりという状況だった。
 
 私が何をしていたか…
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 通訳だ。

<ルール34『何かしら仕事はすること』>
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by Nijyuurou | 2007-07-31 23:51 | 依頼記録

『虎よ』

 7月23日、ヴェネチア。
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 長い旅の果てに、たどり着いた手掛かりは一枚の絵だった。

 ヴェネチアの依頼人から渡された細密画(ミニアチュール)。
 そこに描かれた白い虎。
 
 あれだけあちらへ、こちらへと引き回されたあげく、たどり着いた手掛かりがこの程度とは、あまりといえばあまりだが…。
 
 それでもやって見ざるを得まい。

 ともかく私はチョコ嬢にリスボンで落ちあおうと連絡すると、アドリア海を下って地中海を西に向かった…………。

 ところが、だ。

 リスボンで情報を集めてみようとしたが、全く埒があかない。
 …どうして、この大きな待ちで、一枚の絵の来歴を調べることが出来ないのか…。

 しばし思い悩み、そして焦りに焦って、ふと気がついた。
 地中海でもっともこういった東方の珍品の集まる街はどこか…。
 喜望峰航路が確立されたとはいえ、こういった珍奇の品は陸路で運ばれることが多く、そしてそれを求める金満家の多い街といえば………一つしかない。

 ヴェネチアだ。
 
 私は自分の迂闊さ加減を罵りながら東へと戻る。
 どうも目指す依頼を受けて、舞い上がっていたようだ…。

 が…ヴェネチアで話を聞いてみても、インドからの交易路のどこかで手に入れたものだということくらいしかわからない。
 細密画は元々イスラム圏のものだということくらいは知ってる。
 こうなってくると、少々面倒だが港々で話を聞きながらインドまで行ってみるしかないだろう…。

 リスボンでチョコ嬢と落ちあうと、私は南へと針路を取った。

 …とはいえ、道中はいつもとあまり変わりない。
 あちらで地元の少女の話を聞いたり
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 こちらで香辛料店を冷やかしたりしつつ、のんびりと進んでいく。
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 その間に問題の絵をヨーロッパに送ったのは、カリカットの提督マリッカルではないかということが判明した。
 …寄り道もまんざら無駄ではないのだ。
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 マリッカル提督は突然尋ねていった私たちに嫌な顔一つせず面会してくれた。
 聞くところによると、どうもこの絵は手違いで送ってしまったようで、絵の返却を申し出たのだが、絵は好きなようにするがいいと受け取ってもらえない。

 それどころか、この白い虎…カリカットの学者が詳しいということまで教えてもらい、私達は何度も頭を下げて彼の邸宅を出た。

 マハ=ラジャとかいうのだろうか………このあたりには腹の太い男が多い。
 ヨーロッパの名士連中も見習って欲しいものだ…。
 
 …さて、問題の白い虎だが…ベンガル湾奥地で見た、という情報…噂のようなものだが、これに賭けてみるしかないだろう。

 途中カルカッタに寄港し、チョコ嬢の受けた依頼をこなしたが…チョコ嬢、どうも方向感覚を失ってしまったのか、地図を見ながら道に迷っていた。
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 …何とか、先導して奥地まで連れて行ったのだが………今度は私が山賊に襲われるというアクシデントも起きる。
 副官二名を船に残してきたのが悔やまれる…。

 しかし、チョコ嬢、以前は名うての冒険者だったはずなのだが…どうしたのだろうか。
 
 試しにふと
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 と聞いてみると、返ってきた答えが
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 …立派な軍人になって欲しいとは思うが、脳みそまで筋肉になることはないと思う…。

 ともあれ、我々はベンガル湾北岸に上陸し、白い虎が住むという奥地へと歩を進める。
 ジャングルというよりも湿地に近い森が延々と続き、じわじわと私達の体力を奪っていく。
 進めども進めども、白い虎の姿は見えない……。

 そのうち、湿気は消えて森が深くなり、遠くヒマラヤの峰が見えるようになった。
 
 これ以上の調査に意味はないのではないか、そう考えて撤退を考え始めていた、ちょうどそんな時期…。

 いつものように森の中で野営をしていた…ある夜のことだ。

 最初に気がついたのはドゥルシネアだったらしい。
私はちょうどその時毛布にくるまっていて、船員に揺り起こされて、初めてそれに気がついた。

 寝ぼけ眼を擦り、跳ね起きてみると、20mほど離れた古木の影から、それは姿を見せつつあった。
 
 ヒマラヤの雪のように白く、海のように青い目を持った白い虎。

 ぬばたまの夜の森の中、月光を浴びて燦爛と燃えて立つそれは確かに美しかった。

 本来なら、恐怖を感じてもいいのだろうが…あまりに突然のことに感覚、というのが麻痺していたのだろう、私達は全員立ちつくすばかりだった。

 と…ドゥルシネアが思わず漏らしたため息を合図にするように、そいつが動いた。
 一飛びにこちらに近寄ってくる。
 
 速い。

 私は、一体何を感傷に浸っていたのか…ここは荒野で、相手は夜行性の大型の猛獣なのだ。
 世界中でもっとも危険な動物を相手にして注意を欠いた自分自身に、私は舌打ちした。
 
 ドゥルシネアを押し倒すとベルトからピストルを引き抜いて、狙いも付けず撃った。

 一瞬後、白い虎は私の横を風のように駆け抜けて、木にぶち当たり、そこで動かなくなった。
 
 …沈黙を破って、押し殺した嗚咽が聞こえる。
 ドゥルシネアだ。
 まだ、ああいう場面は慣れていないのだろう。
 少々刺激が強かったかもしれない。
 その肩をそっとロクサーヌが支えている。
 傍らにはまだ硝煙の上がるマスケット。

 伏した白い虎を調べてみると、その瞳を銃弾が撃ち抜いていた。

 私の撃った弾なのか、ロクサーヌの弾なのかは定かではない。
 
 私は大きくため息をついた。


 …次の日、私は虎の処理にかかった。

 血を抜き、皮を剥いで鞣し、肉は食べられれそうな部分は保存して、その他は地面に埋めた。
 …虎など食べるものではないが、何となく捨ててしまうのははばかられたのだ。 

 そして、頭は綺麗に処理をして、兜の形にしつらえた。
 正直、虎を見るだけのためにここまで来たのだが…結局チョコ嬢の望み通りになったか。
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 ロクサーヌが呆れた顔でため息をつく。
 が…約束してしまったものは仕方ないではないか…。
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 ………なかなかよく似合うとおもう。
 
 とはいえ…ただで上げてしまうのももったいなく思い……報酬を要求することにした。

 頬にキスを、それが私の望みだ…。
 そっと目を閉じて待つと

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 ロクサーヌがもう一つ大きなため息をついた…。

<ルール33 ~ 『女との約束は守れ』>

 追記。

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 何とか報酬を支払ってもらい、カリカットでチョコ嬢と分かれる。
 
 ドゥルシネアが、苦労した割には実入りはなかったね、と恨みがましい目でそういった。

 私はバッグから一枚の紙を出して、彼女に示した。

 ロクサーヌがくすりと笑う。
 
 ヴェネチアで手に入れ、マリッカル提督から譲り受けた細密画。
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 長い旅の果てに、私の手に残ったのは一枚の絵だった。

 それで十分だ。
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by Nijyuurou | 2007-07-29 22:22 | 依頼記録

『鎧を着た釣り人』

7月22日、カリカット。

 後一歩で白い虎の情報が入ってくる。

 だが、その条件となる依頼というのが酷い話で、何でも人食い虎を退治してくれという話だった。

 ロクサーヌがいくら腕が立つといっても、人食い虎が相手では分が悪い。
 ドゥルシネアが加わっても危ない。
 悲しいかな、私が入ってもさほど変わらない……。
 
 私の船は乗組員14人・・・正直、そんな人の肉の味を覚えた大型の肉食獣の相手はごめん被りたい。

 そんな時である・・・近海にいるT-Star氏から着ていた鎧が壊れたので、新しいものの発掘を頼みたいという話が舞い込んできた。

 ………飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ。

 T氏はロクサーヌよりも腕が立つ。
 船員もガレアスなので100人以上。
 虎退治にこれ以上心強い味方はいない。

 …だが、依頼の危険さを悟られていけない。
 俺は何気ない風を装ってT氏に、ついでに虎を見に行かないか、そう持ちかけた……。

 T氏は無邪気に笑って、虎とは面白い、そう言った。
  
 しめしめだ………。
 そして…
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 あっけなく虎退治は終わった。

 あまりにあっけなく、完全武装のウチの船員はあっけにとられている。
 
 ホルムズでもらってきた毒薬が良く効いたおかげで、全く被害はない。 
 …これならウチの船員どころか、俺一人でも十分けりがついた…。
 
 …………とりあえず、向こうで物珍しそうに虎の顔をのぞき込んでいる男の依頼をこなそう…どうやらこっちの方が大変そうだ。

 彼の依頼はデメトリオスの鎧の発掘。
 何でもアデン付近に埋まっているという話なのだが…

 悪いことに、ちょうど変装用の服が破れてしまい、アデンに入れ無いのではないか、というところからまずつまづいた。
 運良くちょうど居合わせたイングウェイ氏に服を一着だけ借りる事が出来、一路アデンへ。

 …だが、アデンについてみると様子がおかしい…。
 いつものようなオスマン役人の厳しい検査がない。
 普段の服で港に上がり放題だ。
 よく見ればフランスの旗が翻っている。

 ………そう、いつの間にかアデンはフランスの同盟港になっていた。

 フランスの勢力が伸びることを快く思わないヴェネチア人もいるだろうが、密輸商の私には関係のない話だ。
 むしろ、良くやってくれたと拍手したい気持ちでいっぱいだ。

 が、入港して、まずやったのが、二人しておそろいの服を買うこと。
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 ………とりあえず、必要不必要は別にして、雰囲気のある服装は心がけたいところだ。

 …情報を集めてみると、どうも発掘地点はホルムズらしく、二人して粛々と砂漠に向かい、穴を掘った。

 …………鎧は無事に見つかったのだが、しかし、海事に使うのだろうか………そう思って、彼の方を見たところ…
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 釣り師?
 ………さっきから船はガレアスだったような………船員も100人乗っていたはず……。
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 やはり…まさか、この船で釣りの訓練をしていたのか………。
 まさかと思って聞いてみると、さらに鎧を付けたまま釣りをしていたらしい。

 こ、この男………
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<ルール33『釣りは思いのままの姿で楽しむべし。』>

~追記。
 先月、この記録で、ある女性の姿について問い合わせがあったり、まだ見つけられてないんだかわいそう、等言う怪情報が飛んだりしたことがあった。

 実はその時、私も記録をどこかにやってしまって、探し回ったのだが…。
 このたびその時の記録が見つかった。
 当時の記憶のある方は、思い出して、ああそんなこともあったな、と懐かしんでもらえればイイかな、と思う。
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 我ながら、良くできたと自画自賛だ。
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by Nijyuurou | 2007-07-24 21:16 | 依頼記録

『Book of days』

7月21日、タマタブ。

 カメレオンを探す私の旅も、終盤にさしかかっている。
 ここ何日かは、記録をまとめることもせず、ひたすら調査を行い、ようやくマダガスカル島にまつわる生物調査を行うところまでやってきた。

 あと一息だ……。  
 
 ところが、記録が大量に貯まっていることに気がついた。

 仕方がないので、ダイジェストにして記録を取ろうと思う。
 
 まず一枚目。
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 金色のカエルの調査にマダガスカル島まで行ったときのものだ。

 このカエル、どうも以前に他の冒険者が調査を行っていたらしい。
 もっともアリデスおばさんが若いころの話らしく、素敵な冒険家でどきどきした、とのおばさんの話だ。
 おばさんも若いころは美人だった、らしい。

 おばさんはケープの酒場の看板娘?である。
 正直、最初にお会いしたときは、オイオイ、と思ったが、依頼の報告は任せても安心であるし、調査の際に貴重な情報をもらえることも多い。
 ケープという立地もあり、世話になってばかりの人だ。

 その時の発見物がこれ。
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 キンイロアデガエル。

 名前が知り合いに似ているというので、その旨を告げたらイヤな顔をされた。
 カエルといっても、目がくりっとして、なかなか愛嬌があると私は思うのだが。。。

 世の中にはアデリーペンギンというものもあるらしいので、それが発見されるまでは何とか頑張って欲しい。

 この時は、マダガスカル沖でぼんやり航海をしていたら海賊船にぶち当たり……あわやと思ったが、ちょうど嵐が起きた。
 慌てて嵐の中展帆して、見えなくなるまで逃げる。
 いいタイミングだった。 
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 …本当はこうなる前にどうにかしなきゃいけないんだが・・。

 では、次の一枚。
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 何の意味もなく、航行中に記録したもの。
 
 青い空が好きな人、夕景を愛する人といろいろと好みがあるが、私が好きなのは夜景。
 
 いい風景を見つけると、思わず記録に残してしまう……。

 次の一枚。
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 セビーリャでベル嬢と。

 詳しくは説明しないが、見られた。
 ちょっとやられた気持ちが強いが………。
 やり返せば犯罪だ。

 さらに次。
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 中部インド洋を航行中に釣り上げた妙な魚。
 釣り上げた瞬間ロクサーヌが悲鳴を上げて逃げた。
 非常にグロテスクというか…変わった姿をしている。
 おそらく深海で生活するために、こういう姿になったのだろう…。

 白身の魚であった。
 淡泊で美味である。
 また食べたい。

 次は一組。
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 ナオ嬢が博物学論文を書くというので、一緒に魔物の骨を探しに行く。
 もう二度と行くまいと行くたびに思うのだが、これで3度目だ…。

 何より厳しいのが、これ。
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 何の旨味も、華麗さもない枯れた発見物。
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 しばし無言。
 この化石というやつが、ぐっと疲労を増してくれる。
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 ちなみに、この後、一気に博物学論文を書きにヴェネチアまで行ったが………あまりの長い航海に、思わず眠気が……。
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 悲しい舟歌を歌ってしまう。
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 さらに歌う。
 その甲斐あってか、何とか博物学論文を書き上げるところまで頑張れた…。

 もう魔物の骨には二度と行かない。

 ちなみに、セビリアのロサリオは怖いものは嫌いらしい。
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 …………魔物の骨の話をしたら、また嫌われた…………………。

<ルール31『好き嫌いしない』>
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by Nijyuurou | 2007-07-22 10:24

『地上の星よ』

7月18日、モガディシオ。

 このアフリカ東岸の地までストックホルム沖で行われた海戦の結果が届いてきている。
 
 ヴェネチアは惨敗、されど我が商会員のふぁぶりす氏、エリック氏が素晴らしい戦績を残すことが出来た。
 まさに美事。
 海軍としてこれ以上の誉れはないし、彼等と同じ商会員としても、面映ゆい。
 
 様々な航海記録、文芸などにも、今度の海戦のことが大々的に取り上げられ、彼等海戦の英雄達の記録が華々しく掲載されているようだ。

 そう、目に見える戦功はきらびやかで、声高に叫ばずとも自然に皆の知るところとなるものだ。

 だが…世の中にはけして目立たず、人目を引くことはなくとも、英雄と呼ばれるにふさわしい男達がいる。
 そんな隠れた英雄達が居た事を、記録しておこうと思う。

 
 今回の海戦の舞台は先ほども書いたようにストックホルム・・・ヴェネチアから遠く離れた北の地だった。

 さて…大海戦に出撃する際、同盟港の役人から依頼を受けて出撃する必要があるのだが、ストックホルム周辺にはヴェネチアの同盟港は一つもない。
 それどころか、北海一円、西地中海にもそんな港はない。

 このまま行けば、ヴェネチア勢はナポリで依頼を受け、ストックホルムまで向かうことになる。

 そんなことをしていては海戦に遅れは取るし、それどころかその手間を惜しむ軍船の中には参加自体に二の足を踏む者も現れるのは必定だ。

 そこで、ヴェネチア勢の一部が、ストックホルム南のヴィスビーを一時的にヴェネチア同盟港にして、ここを拠点に海戦を行おうという計画を立て、見事にそれに成功した。

 おかげでヴェネチア勢は破れたとはいえ、万全の状態で戦いに望むことは出来た……それに、もしナポリから出撃ということになったならば、海戦がまともに行われたかどうかも危ういところだったのではと、私は睨んでいる。

 もっともそれは杞憂に終わり、海戦は華々しく行われ、そして終わった。
 
 これがよく知られている、こんどの海戦の流れというものだ。


 さて、ここに一人のイングランド人が居る。

 その男は、酔狂な男で、変わり者と評判だった。

 妙な美的感覚を持ち合わせていて、正々堂々の勝負以外を受け入れることが出来ない困った性だった。
 
 男は何を思ったか自らの軍船を駆ってヴェネチア同盟港となったウィスビーに駆けつけると


『ヴィスビーに投資するイギリス商船は海戦の妨害をするものと見して海賊の汚名を承知で撃沈する。』


 事もあろうに自国の船をそう恫喝した。
 さらに恫喝するのみではなく、実際に完全武装の軍船でバルト海を哨戒して、ヴェネチアの投資作戦を援護したのだ。 
 哨戒は早朝から深夜まで行われた。
 
 まさに狂気の沙汰といってよい。

 …当然、こんなことをしていれば同国人からの反発はあっただろうし、実際に、彼の目を盗んでヴィスビーに投資が行われ、一時ヴィスビーがイングランド同盟港に戻ることもあった

 すると彼は私財をヴェネチア側に回して投資させ、ヴィスビーをヴェネチアに寝返らせてしまった。

 海戦の間中、彼はこんな事を繰り返していた。
  

 この間、男も勿論『イングランド海軍として』海戦には参加していたのだが…その結果は惨憺たるものだと聞いている。

 海戦に使うべき資金も、準備期間も、そんなことをしていればそうなるのは当たり前だ

 いくら使ったといくらか呆れ気味に尋ねた私に、彼は剽げた仕草で、もうオケラさ、と答えて見せた。

 男には結局借金だけが残った。

 この男は、酔狂で、変わった男なのだ。
 
 おそらく、勝敗よりもその勝負がどういうものだったのか、ということの方が、この男には大事だったのだと思う。


 実は、この男以外にも、何人もこういう男がいたと聞いている。

 誰からも褒められず、感謝もされず、時には疎まれ、嘲られ…それでも、今度の海戦の華々しさは彼らの働きによるものだと、私は思う。
 
 …私が彼等から恩恵を被ったヴェネチア人の一人だからではなく、彼等のフェアを重んじる行動に敬意を表して、だ。

 彼等はまさしく紳士だった。


<ルール31『ルールに従う、それが紳士』>
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by Nijyuurou | 2007-07-18 22:24

『いとかわゆげな』


7月15日、マルセイユ。

 以前、ナオ嬢にカメレオンの約束をしてしまって20日が経過した。

 一月で…という約束だったのだが、少々難しいかもしれない
 しれないのだが、それでも何とか頑張らざるをえないのが、男の辛いところだ。

 いつの間にかチョコ嬢に虎兜を進呈する話にもなっており…頭の痛いところだ………。

 ともあれ、愚痴を言っていても仕方がない。

 きっちり仕事をすれば、必ず報われると信じて、私はギルドの生物調査の依頼を続けていた。
 
 というわけで、今日の依頼はこれだ。
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 禁断のイチゴか…。
 イチゴといっても大きさや色が似ているというだけで、実際にはカエルらしい。
 
 しかしこの間から、禁断とか、禁書とか、そういうのが続いている気がするが…まあ、気にすまい。

 マルセイユやセビリアの学者の話によると、今度の目的地はどうもカリブらしい。

 最近、雪だの白夜だのが続いていたので、気分転換にはちょうどいい。

 大西洋を越えるころにはだんだん気温も上がってきて、南国の気配が近づいてきた。
 正直、インドも南国だが湿気が凄い。
 その点、カリブの方が過ごしやすく、休暇には最適だ。

 …虎とカメレオンの一件にけりがついたら、カリブでしばらく休暇もいいな、と思う。

 ともあれ、今は依頼をこなすのが先決…サンティアゴの船乗りが詳しいということなので話を聞いてみたが…問題のカエルは意外と強力な毒を持っており、ことによると人間が死ぬこともあるそうだ。
 …何とか手段を講じないと、調査もままならない。
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 サンティアゴ中で聞き回った結果、どうもジャマイカの船乗りが詳しいらしい。
 早速話を聞いてみたところ、
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 要するに触るな、ということか。
 …常識的に考えれば、まあそうだろうな…………。
 問題のカエルは南米北岸の高地に生息しているという話で、一路進路を南に取った。

 カエルが嫌いな副官二名を船に残して、高地に上陸。
 以前、この南米北岸には来たことがあったが、何度来ても凄いところだ。
 荒涼とした、という表現がしっくりくる。

 ともあれ、カエル自体はさほど発見の難しい場所にはおらず、
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 あっけなく発見。
 本当に小さなカエルだ。
 色も鮮やか。。。毒々しいというより、むしろ可愛らしいカエルに見えるが…やはり猛毒があるのだ。
 
 綺麗な花にはとげがあるというが、その点は動物も植物も変わりない。

 人間だってまた然り、だ。

<ルール30『見た目で判断すると痛い目にあう』>

追記。

 南米から一路セビリアに帰投。
 セビリアの酒場でくだを巻いていると、物騒な格好をした少女が
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ベルナベウ >>>えと、マルコさんやアデイルさんのブログを拝見してまして

 と声を掛けてきた………。
 ・・・・・。
 こういう経験初めてで、少々緊張したが。。。どうも、ウチの商会に入会希望の子らしい。

 ありがたい話だ。
 少女はベルナベウと名乗った。
 
 非常に元気のいい子で、話を聞いてみると、どうも、海軍候補らしい。
 それでこんな物騒な格好をしているのか。
 …ふと思いついて足元を見てみたところ
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 やはり靴を履いていなかった…………。
 海軍の連中はいつもこうだ…………。

 …にしても、ウチの商会は何でこうまだ幼い女の子が多いのか………。
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 ………まあ、それは大丈夫だが。
 アデイル嬢もユリーシャ嬢も・・・・・・
 
 やめよう。

 私も命が惜しい。
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by Nijyuurou | 2007-07-16 23:52 | 依頼記録

『レスボスの女』

7月13日、ストックホルム。

 南方で災難に遭い、それに懲りて今度は北の果てを目指した…訳ではなく、手持ちのストックホルム北の地図をこなすために、寒さを嫌がるクルーを説得して、ここまでやってきた。

 ストックホルム北…ボスニアまで行って、山猫の調査やルーン文字の調査を行うが、これといって目立った発見物でなく、放っておくのも問題なのでこなしている、というだけの話で緊張感は薄く、それよりも、まず、寒い……。

 早々と調査を切り上げて、酒場でイングリッドをからかっていると、冒険者ギルドの斡旋人がやってきた。
 
 信用のおけるヤツにしか頼めない仕事があるという。
 正直、密貿易なぞやっていると、一般人からの信頼というものが宝物のように思えるから、不思議なものだ。
 とりあえず、話だけでも聞いてみることにしたのだが…。
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 訳がわからない。
 よりにもよってストックホルムからアテネまでなどと、こんな馬鹿な依頼をしてくる依頼人も依頼人だが、斡旋する方もする方だ。
 他の依頼は、と尋ねて見たが、どれもヴェネチアに行けだの何だのという話ばかりだ。
 この依頼人、お馬鹿なのかサディストなのかどちらかだ…。

 とはいえ…禁書…というのは、魅力的な話ではある。
 この手の人の目に触れない本というのは、学者のようなことをやっていると、どうしても興味をそそられる。
 禁書、という言葉の淫靡んな雰囲気もまた、いい。

 結局、私はこの依頼を受けた。
 ロクサーヌからは、斡旋する者もする者だが、受ける方も受ける方だというもっともなお叱りをいただいた…。

 ともあれ、受けた以上はしっかりと依頼はこなす。
 ストックホルムで食料と水を満載すると、一気に南下し、ドーバーを越え、ジブラルタルを抜け、地中海を渡ってエーゲ海へ。
 
 アテネに着くと、私は久々の陸地に浮かれる乗組員をよそに、その足で顔見知りの学者のところに向かった。
 かくかくしかじかと事情を説明すると、それはギリシャの女流詩人、サッフォーのことだという。

 この女性、詩の方は10人目の詩の神といわれるほどの美しい詩を作ったらしいが、内容が少女への熱情を歌ったものが多く、そのせいで今でも禁書のような扱いを受けているらしい。
 では、見せてくれ、という私に学者は首を振り、この街に詩集を集めていた者はいる、といい、
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 と続けた。

 こいつ、私に泥棒の真似をしろといいたいのかと少々憤慨したが…考えてみれば私は真似ではなくて本職だった。

 私は学者に礼を言うと、そのままその空き家に向かう。
 こういう仕事は一人の方がやりやすい。

 …ゴア北で鍛え抜いた開錠で、空き家の鍵はあっけなく開き、私は難なく屋内に侵入。

 人の気配はなく、妙にカビくさい匂いが鼻を突いた。

 まず本棚を確かめてみたが………やはり、それらしいものは入っていない。
 ものが禁書だ…わかるようなところには隠すまい…。
 注意して室内を見回すと………本棚の横の棚が目についた。
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 調べてみると、引き出しの奥が隠し棚になっている。
 棚には厳重に鍵が掛けられており………ご丁寧に罠まで仕掛けてあった。
 成る程、見られたくないものを隠していたのだろうということは、よくわかった。
 私も若いころ、見られたくない本はこういうところに隠したものだ。
 
 手早く罠を外し、中を覗いてみると、風化しそうなパピルス紙や、手垢でぼろぼろになった羊皮紙の束・・。
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 書かれた文字は古ギリシャ語であったり、ラテン語であったりだ。
 私は、少々興奮気味に、それらの文字に目を通した…。

    
    輝く朝が播き散らしたものを

    すべて連れ返す宵の明星よ

    あなたは羊を返し、山羊を返し

    母のもとへ子を連れ返す


 …美しいじゃないか。

 これのどこに禁書になる要素があるというのだ。
 大体、ローマ教会の連中にしろ、プロテスタントの連中にしろ、ギリシャ=ローマの文化に対して偏見がありすぎるのだ。
 では、次の詩…。

    香り高い胸の女神への愛らしい贈り物

    少女たちよ狂わしくあれ、竪琴の調べに

 ……………………。

 おや?

 ……………………………。

 何枚か続きをめくってみる。

 ………………。

 どう考えても、このサッフォーという女性、お弟子との間に師弟関係以上の関係があったのは間違いないだろう。
 こんなものが頭の固い連中の目にでも触れると、本当に焚書されかねない。
 とはいえ、問題のありそうな詩以外は、本当に素晴らしいんだ…。

 問題のありそうな詩も素晴らしいのだが、これが一般的に受け入れられるようになるのに、後4~500年はかかるだろうという話だ。
 
 なんとか、後世に残さなくてはならないだろうが…。

 ………。
 
 結局、私は悩んだ末、詩集の中の問題の少なそうなものだけを選び出し、ギルドに報告した
 渡しただけの詩は必ず後世に残してくれるだろう、私はそう判断した。

 そして…残された、この問題のある詩。
 これは、一時私の元に止めおくことにした。

 何カ所かに分けてに隠しておくのがいいだろうと思う。
 この詩は、まだ世の中に出るのは早すぎる。
 時が過ぎ、これを道徳とは切り離された単なる美しい詩としてみることの出来る時代になってから、誰かが見つけてくれれば、俺の思いは達するし、作者にしてもそう思うはずだ。
 
 俺は航海日誌に詩集を書き写すと、文書どこに隠すか考えはじめた。
 ………やはりアレクサンドリアあたりがいいだろうか……ヴァチカンの図書館あたりもそっと…………。

 …気がつくと眠っていたらしく、揺り起こされると、汚れ物を見る顔のロクサーヌと面白そうな顔のドゥルシネアが立っていた。
 手に航海日誌を持っている。

 …。

 …それは私が書いた訳じゃない。

<ルール29『見られたくないものは手早く隠せ』>
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by Nijyuurou | 2007-07-15 23:32 | 依頼記録

『黒い悪魔の紋章』

7月11日、セビリア。
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 喜望峰の調査を受ける。

 かのバルトロメゥ=ディアス提督がアフリカの南端に到達した後、各国は幾度も喜望峰周辺の海域の調査を行ってきた。
 それというのも、あの周辺の天候はひどく不安定で、航路が確立してからも数多くの船を海の藻屑に変えてきた、いわゆる魔の海域の一つだからだ。

 ディアス提督にしても、喜望峰に到達したのはいいが、それ以上の航行を断念して本国への帰投を選択している。

 元々、あの岬は『喜望峰』ではなく『嵐の岬』という名前だったのだ。
 喜望峰というのは、後にイスパニアの国王が付けた名前である。

 実際に海に出たことのない、おめでたい王族の考えそうな名前だ。

 ともかく、あの岬がどんな名前であろうが、私にとっては生活の糧であることには代わりはない。
 それに危険な海域とはいっても何度も通った航路である。
 隅々まで知り尽くした、とは言い難いが、私たちにとっては、さほど危険な話とは思えなかった。

 システィーナ号の舳先を南に向け、一気にサンジョルジュまで南下する。
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 途中、サンジョルジュで災害を防ぐ船首像を取り付けろ、などという助言を現地の船乗りからいただくが、私にしてみれば噴飯ものだ。
 この科学の時代に、前時代的な船首像のお守り等と迷信深い物に頼っていたのでは、学者の端くれとして恥ずかしい。
 
 考えてみれば今まで何度もヨーロッパとインドを行き来しているのだ。
 今回に限って、ひどい危険があるというのは考えづらいが…ただ、ケープを出るとき、ドゥルシネアがひどく不安がっていた。
 悪い予感がするという。 

 …あまり、喜望峰に関する危険な情報ばかり聞いたせいか、少々ナーバスになっているのだと思い、私は今回の依頼を手早くすませることにした。

 嫌な情報ばかりを仕入れて、乗組員を不安にさせるのもいただけない話であるし、大体報告に困る。
 この手の報告は少々希望の見える、甘い話くらいの方が、依頼人は喜ぶものだ。

 そして……やはり、あっけなく調査は終わった。
 特に問題はない。

 ケープを出てすぐの話でもあり、まだ水、食料にも余裕がある。
 私は進路を南に向けるように指示を出した。
 アガラス海盆の鯨の生息状況を記した地図を私は持っており、この機にその調査を終わらせよう、そう思ったのだ…。

 考えてみれば、これが間違いだったのだ。
 ケープ海盆に入ったとたん、天候が一変。

 
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 なんと、雪だ。

 正直、アフリカの熱波を想定して出てきたため、寒さへの対策が出来ていない。
 あわてて予備帆を切るなどして防寒の用意を行ったが、やはり急場しのぎで、船員の疲労はどんどん増していった。
 
 …港を出て2週間、ようやく目的の海域に到達したころは、皆疲弊しきっており、やっとの想いで竜涎香を引き上げ、帰路についた。

 それからさらに1週間航海を続け、ようやくアガラス海盆を抜ける、そう思った矢先のことである。

気がつくと、システィーナ号の前に触手の長さだけで10mはあろうという巨大なイカが浮上してきていた。

 クラーケンだ噂には聞いていたがこれはやばいぞそういえばこのあいだアデイル嬢がこんな生き物について書いていたようなそれよりまず進路を変えてもこれは間に合わない・・・。
 一瞬のうちにさまざまな考えが頭をよぎり、思考が正常に戻った瞬間、クラーケンの触手が甲板に落ちてきた。
 
 轟音。

 一瞬システィーナ号の鋼鉄の外板がねじれたように感じるほどの一撃。
 世の中にはこんな化け物に出くわしたい人間もいるらしいが…………狂気の沙汰だと、はっきり思った。
 
 はっきり言って慌てたが、俺おいてあったマスケットを手に取ると、クラーケンのおぞましい瞳目掛けて発砲する。

 その甲斐もあり、クラーケンはマストに絡めようとしていた触手をほどいて、再び暗い海の底へ消えた。
 だが、ロクサーヌ曰く、クラーケンは船首像の聖母マリアに怯えて逃げたのだという。

 馬鹿馬鹿しい限りだ。

 だが、あの船首像は大事にしよう……。

<ルール28…信仰は時に人を救う>

追記。

 ほうほうの体でケープに戻ると、商会員のエリック氏とチョコ嬢と再開。

 エリック氏は最近ヴェネチアに亡命をしたそうで、以前イングランドの旗が掲げられていた位置に、サンマルコのライオンが居た。
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マルコ>その旗が………違和感を
エリック・ドレイブン>傭兵です
マルコ>おおおお
エリック・ドレイブン>(流れ者
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 痺れた。
 やはり男の生き様はアウトローだ。
 しかも
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 小粋だ。
 今日のエリック氏は一味違う。

マルコ>Σ
エリック・ドレイブン>乳成分20%
マルコ>あとの80%は?
エリック・ドレイブン>聞いて驚くな
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 ………始めから終わりまで文句のつけようがない…。

 そして、ふと彼の姿を見て気がついた……。

 あれは、黒い悪魔の紋章…。

 見事傾いたものだ………やはり、出来る男は違う。
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by Nijyuurou | 2007-07-13 23:17

『5%』

7月9日、リスボン。

 冒険者ギルドで斡旋書を切り、エパミノンダスの調査依頼を引き当てる。

 取り敢えずヴェネチアまで、と思ったが、同時にイングウェイ氏からイスラムの王制調査に行かないか、という誘いの手紙が来た。
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 このイスラムの王制調査というのは、ギルドに一度報告すると、二度と依頼が来ない事で知られている。
 …確かに、地味な調査で、こんな事を調べてくれ、という人間は確かに少ないだろう。

 だが、前回は依頼の最後に非常に価値のある王冠を見つけた記憶がある。

 しかし、今回も同じように王冠が見つかるとは限らない。
 おそらく見つかる可能性は5%程度。

 エパミノンダスの調査も金になる依頼だが…その5%という数字が私を惹きつけた。
 
 100%手に入る宝より、5%でしか手に入らない宝の方が、探しがいがあるというものだ。

 私は依頼の前金をギルドに突き返すと、ヴェネチアに進路を取った。


 ヴェネチアで待っていたのは、イングウェイ氏とアデイル嬢。

 いつものようにイングウェイ氏の先導で、アドリア海を抜け、エーゲ海を横切ると…
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 得体の知れない緑の帆の艦隊がウヨウヨといた…。
 何でも、プレステ=ジョアンの国に関係しているらしい。
 …正直、プレステ=ジョアンの存在については、私は懐疑的だ。  
 かつてタタールが侵攻してきた際に、我々の祖先の中ですがった伝説に過ぎず、もちろん、そのモデルとなった国はあっただろうが、彼そのものを求めるのは、難しいのではないかと思う。

 ともかく、今の我々が求めているのは伝説のキリスト教王ではなく、現実に存在したイスラム教の宗主である。
 艦隊を横目に、ベイルートに向かった。

 …情報収集自体は、簡単に終わった。
 トゥグリル=ベク…初めて『スルタン』の名を名乗った王。
 このスルタンという称号、彼がイランの古都イスファハーンの住民を迫害した際に、当時のカリフが融和的な政策をとる一環でトゥグリルに贈った称号らしい。
 
 …ちなみに、スルタンというのは「権力者」、「権威者」とか言う意味で、カリフは「(ムハンマドの)代理人」という意味。
 本来の意味は異なるが…スルタンというのが俗世間的な権力者で、カリフがイスラム教徒の代表者…ぐらいに考えるとまあ、大体は通じる…はずである。
 
 話が横道に逸れた…本題に戻そう。
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 今回の盗掘発掘では、アデイル嬢が発掘を担当することになっているが…実は彼女では今回の鍵は外せない事に、後から気がついた…こっそりと、鍵を開けておく。
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 無事発見。
 
 残念ながら、目当ての王冠は手に入らなかった。
 少々博打を打ちすぎた気がするが、反省はしていない。
 ロクサーヌの言うとおり、手堅くエパミノンダスの調査をしておけば良かったのかもしれないが、そんな堅実な真似が出来るくらいなら、今頃商人ギルドに頭を下げて、鑑札を手に入れている。

 大体、冒険者なんて、山師と相場が決まっているのだ。


<ルール27:博打に生きるものは買っても負けても最後は博打に殺される>

 追記。
 発掘の後、門のそばで突然アデイル嬢が足を止めた。
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 …ラクダが珍しいのか…。
 そういえば、ラマにご執心のようであるし、ラクダのことが気に入ったのかもしれない。
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 イングウェイ氏も同様の意見のようだ。
 と、アデイル嬢が一言。
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 …あまりといえばあまりだと思う。
 ラマもラクダも、みんなみんな生きているのだ。
 友達なんだ。
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by Nijyuurou | 2007-07-11 23:35

『システィーナ』

7月7日、リスボン。

 イングウェイ氏から、造船が可能という一報が入った。

 彼は複合造船に掛けては右に出るもののない腕利きの船大工で、インドで修行していたこともあり、あちらの造船所には顔が利くが、今回は腕もさることながら、そのインドで顔が利く、というのが大事なのだ。
 
 カリカットでは多くの船大工が修行をすることもあり、造船の技術……特に帆船の組み立てに関しては飛び抜けていて、本国では造れないような船の組み立てが可能だ。
 そして、最近、カリカットに大規模な投資があったことで設備が新しくなり、新型の艦船が建造可能になった。

 小型で、多数の帆柱を持つ快速艦船・・・軽クリッパーといわれる船だ。

 先日ようやく建造可能になったという噂を聞いて、建造用の部品を集めていたのだが、イング氏がどうも足りない部品を集めてくれたらしい。


 さて、噂の軽クリッパーでインドから帰ってきたイング氏と合流、一路インドを目指すことにしたのだが・・・ただ行くだけでは芸がないので、冒険者ギルドで依頼を受けて行くことにする。

 『百獣の王』…何でもライオンを調査して欲しい、という依頼らしい。
 何度かアフリカで見かけたことはあったが、詳しく調べたことはなかったので、ちょうどいい機会だ。
 
 …途中、いつものように襲ってきた海賊船にどちらが速く停船協定を出せるか競ってみるが
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 この日のイング氏は船も変わっていたこともあり、絶好調であった。

 先ず、シエラレオネ・・・そしてルアンダと船を進める。
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 途中、集まった情報によると、以前はかなり北の方でもライオンを見ることが出来た、という話だが、今はもう南の草原にしか生息していないという。
 確かに、古代のエジプトではラムセス王がライオンを狩ったという話も残っているし、ローマのコロセウムに供されたという記録も見たことがある。
 ヨーロッパの間近にも居たはずのライオンが今はもう遠く離れた南の地でしか見られないというのは、やはり人間に追われて、と考えた方がいいのかもしれない。

 ともあれ、ソファラの北東のサバンナで、目標のライオンを発見・・・・
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 思わず掘ってしまった。
 ・・・・何事もなかったかのように、再度生態調査。
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 今度はしっかりと発見できたのだが
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 隣でイング氏はしっかりと見ていたようだ・・・。
 
 ライオンの風下からじっと様子をうかがってみるが・・・どうもライオンは一頭の雄に複数の雌が集まって群れを作る生態を持っているようだ。
 かといって、この雄ライオン、あまり動いている姿が見られない。 
 どうも、餌を取るのは雌の仕事で…かといって捕らえた獲物は雄が一番はじめに食している。

 人間じゃ、こうはいかないのが悲しいところだ。
 お前が羨ましいよ、と一言呟いて、私は調査を終えた。
 
 調査終了後、いつものようにリボンを辿って上陸地点まで戻る。
 ふと、周りを見回すとイング氏の姿がない。
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 どうも、リボンがないようだが・・・だいぶ混乱しているようだ。
 私は、『イングさん、落ち着け』そう叫んだ。
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 私も彼もどうも今日は調子がおかしいらしい……。
 
 サバンナを出た私たちは一路北…ザンジバルへ。
 ここでもう一つ依頼をこなしていこうという寸法である。

 ちょうど、人魚を捜して欲しい、という依頼があったのだが…。

 …正直、またか…と思い、げんなりとする。
 ロクサーヌの方を見ると、同じく表情が浮かない。
 一人乗り気でいるのは船に乗ったばかりのドゥルシネアだけだ。

 以前、カリブの方で似たような依頼を受けたが・・・結果、人魚どころか、アザラシのような生き物が見つかっただけだ…。
 
 ともあれ、一縷の望みを掛けて、依頼を受ける。
 イング氏といえば…

マルコ>よし、じゃあちょっとおとなしめ…
Yngwie>わわ…すごいw

 …多分期待には応えられない…。
 
 調査は先ずカリカットと言うことなので、季節風に乗り、一気にインドへ。

 まず、造船所で船の手配をしてもらう。
 6日ほど掛かるそうで、その間に人魚の調査を行うことにした。

 …海面に浮かんで子供に乳をやっていたとか…鼻と口が出かかったとか…そういう、気の重い情報ばかりはいってくる。
 結局、
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 今回も人魚とはかけ離れたものが出た。
 脱力のあまり、記録がうまく取れていない…。
 ドゥルシネアが呆然としている。
 私だって泣きたい。
 海の現実はあまりに非情だ、が 

Yngwie>おおおおおおおお、すごい~

 いや…私たちの欲しかったものは、こんなものではないはずだ…。
 人魚はやはり、空想の生き物、なのだろうか…。

 …傷心を引きずり、港に帰ってみると、船が完成していた。

 一度に心の傷が癒える。
 素晴らしい出来映えだ。
 彼に頼んで正解だった…。

 『システィーナ』と名付けたこの船に乗って、本日の航海は終わりとしよう。
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<ルール26 ~ 人魚を見つけるためには先ず人魚を捜すことである>
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by Nijyuurou | 2007-07-08 23:51