大航海時代online Boreasサーバー  マルコの航海日誌


by Nijyuurou
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『少女と迷宮』

ティレニア海、洋上。
 晴天、微風。

 ミランちゃんは、ホントに良い子ですね、と冊子を見ながらロクサーヌが言った。

 私は少々憤慨し、そんな前のこと、まだ言ってるのか、と口をとがらせる。

 ちょっと前に出た、彼女の書いた冊子の中では、『冒険の最後に、腕利き冒険者のマルコが、ミランを助けて落盤に巻き込まれるが、生還する』と言う、そんな物語が描かれている。

 いい話だ。
 
 私はこの話はこの流れで良いと思う。

 そう言うと、ハーフェズが、お前、反省してるか、としかめっ面をした。

 あれは、事故だ、と私は答えた。

 ふうん、と二人が同時に言う。

 私は溜息を吐いた。

 真実なんて、追いすぎて良いものじゃない、と、私は思う。
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by Nijyuurou | 2008-11-25 23:11
ブリテン島北部。
 晴れ、北の風。

  ロンドンで『プリマヴェラ』…いわゆる作戦用コルヴェットに乗り換えた後、我々は急ぎ北の海域へと向かった。
 
  漁師から聞いた海賊の集まるという位置と、ダブリンから逃げた海賊斥候部隊の速度を計算すると、ギリギリ本隊への合流を阻止出来る計算だ。
  とはいえ、1日、2日と日が経つにつれて、少しずつ焦燥感が高まってくる。
  もし、追いつけなかったのならば、何もかもが水の泡と帰すのだ。
  普段は追われることの多い私だが、追い掛ける立場になってみると、何とも嫌なものである。

  その追走劇にようやく終止符が打たれたのは、問題の海域の直前だった。

  ちょうど船長室で毛布にくるまっていた私は、誰かに揺り起こされ、眠い目を開けた。
  誰かと思えば、ロクサーヌが、両手に手旗を持って立っている。
  すでに早暁で、一番寒い時間だ。
  少々めんどくさい気持ちで毛布をしっかりと握りつつ、どうした、と尋ねると、追いつきました、と短く答えがあった。

  私はナイトキャップを脱ぎ捨て、いつものピューリタンハットを乱暴に被りながら、距離は、と尋ねた。
  後5分です、とロクサーヌがやはり短く答え、向こうにどう信号を送りますか、と聞いてくる。

  私は少し考えてから、ロクサーヌに耳打ちした。
  ロクサーヌは本当にそれでいいんですか、としかめっ面をした。
  私は少々意地悪な顔を作って、不服か、と尋ねる。
  ロクサーヌは、いえ、と、また短く答え、少々膨れたように船長室を出て行く。

  私は心の中で舌を出した。 
  

  腰にサーベルを押し込みながら甲板に出てみると、そこはすでに蜂の巣を突いたようになっていた。


  大砲を引き出してくるもの、甲板に滑り止めの砂を撒くもの、祈りを捧げるもの………様々だ。
  ハーフェズは御愛用のフリントロックに弾を込めながら、お前が一番ネボスケだな、と悪態をつく。
  私は、主役は最後に登場するんだ、と答えながら、マスト上を見上げた。

  そこでは、ロクサーヌが真っ赤な顔をして、敵に手旗の信号を送っている。
  
  甲板の水夫達も彼女の方を見上げていたが、皆、一様に、どことなくおかしそうな顔であった。

  だが、海賊達にとってはそうではなかったようで、ロクサーヌが手旗を終えると同時に反転を開始、こちらに向かって来る。


  やる気だ。


  私は、戦闘準備、と叫ぶ。
  ロクサーヌがマストから滑り降りて来つつ、敵はやはりお気に召さなかったようですね、と憮然として言った。
  だが、一番お気に召さなかったのは、海戦に美学と言うものを求める、海軍出身の彼女だろう。

  なにしろ、私はこう通信するように指示したのだ。

『Trick or Treat』
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by Nijyuurou | 2008-11-22 21:47 | 『死者の祭りに日が暮れて』
ダブリン。
晴天、北の風。

 教会に戻ってきてみると、入り口の扉が片方外れかけ、蝶つがいでかろうじてぶら下がった状態になっており、もう片方には大きな刀傷が付いていた。

 ハーフェズが、俺はハロウィンというのはあまり経験がないがああいう事もするのか、と尋ねてきた。

 私は頷いた。

 …配る菓子の質と量を誤ったんじゃねえか、と、答えると、ハーフェズは至極納得、と言う調子で頷き返してくる。

 そんなわけないじゃないですか、何かあったんですよ、とロクサーヌが叫ぶ。

 それを聞き終える前に、私とハーフェズは駆けだしていた。

 そうじゃないかと思った、とぼやく。

 やっぱりな、とハーフェズもぼやいた。

『以後、ハロウィンイベントの内容を含む。ページをめくるなら、注意』
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by Nijyuurou | 2008-11-18 23:53 | 『死者の祭りに日が暮れて』

『恋人達の幕間に』

ロンドン。
曇、北風。
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私は片手にぶら下げた靴を、少女に差し出した。

 彼女は丁寧に頭を下げると、でも、彼に伝えてください、そんな綺麗なネックレスよりも、貴方がいてくれればそれで十分です、そう言って、笑顔を見せた。

 いい話じゃないか。
 私は、ウン、分かった、とイイ笑顔で彼女に手を振った。
 後ろで、ハーフェズが溜息を吐き、こんなことしてていいのか、と悪態を言った。
 私は渋い顔で振り返り、あの石板なら、ぶっ壊すのはいつでも出来るさ、中身を調べてからでも遅くないだろう、と言い返す。

 ハーフェズが、ならいいが、お前、グレンの言葉で冷静さを欠いてだろうな、と口をへの字に曲げた。
 
 私は、勿論、と答え、ハーフェズはもう一度、ならいいが、と繰り返した。

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by Nijyuurou | 2008-11-17 23:28 | 『死者の祭りに日が暮れて』
コペンハーゲン。
雨、北の微風。

 再びコペンハーゲンへ。

 願わくば、この件は早くケリをつけてしまいたかった。

 なにしろ、悪いことばかりが重なっている。
  
 まず、このふざけた寒さと、日に日に短くなる日照時間。

 間断なく機嫌の悪いロクサーヌ。

 ……そして、何より、この薄気味悪い箱だ。

 大理石の箱は船倉に放り込んだままだったが、箱をおいた辺りの闇は一段と濃い感じがする。

 単なる気持ちの問題と言えばそれまでだが、これまで何度もこういった代物を見てきた私にとって、正直船に乗せておきたい代物ではない。
 
 グレンは、この箱をとある冒険者から手に入れたと言う。

 冒険者なんて、皆、それなりに鼻が利くものだ。

 利益になるものなら、きっと手放さない。

 そして、問題のある代物なら、幾ばくかの金にして、すぐにでも手元から離したい。

 そう言うものなのだ。

 グレンは、その辺りがよく分かっていない、と思う。

『以後、ハロウィンイベントの内容を含む。ページをめくるなら、注意』
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by Nijyuurou | 2008-11-14 23:53 | 『死者の祭りに日が暮れて』
北海、ロンドン南洋上。
晴天、北の風。

 調査の依頼を受け、ダブリンから再びアムステルダムへ。

 また、アムステルダム、である。
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 さすがにロクサーヌもうんざりしたのか、潮風に乱れた髪をいらだたしげに直しながら、ケルト人というのはいろいろなところにいるのですね、と溜息を吐く。
 私はちょっと笑って、お前だって大きく言えばケルト人だろう、と言った。
 私はフランス人ですよ、と、ロクサーヌが不思議そうな顔をした。
 だからさ、と私は答えた。

 …もともと、フランスはガリアと呼ばれていた。

 かのガイウス・ユリウス・カエサルがガリア戦記に記したのも、要するにローマ期のフランスでの戦いの記録である。
 そしてカエサルの戦ったガリア人、これはもともとケルト人のうち、ガリア系の言葉を喋る民族を指すものだったらしい。
 
 つまり、お前さんもそのガリア人の血を引いている、ガリア系ケルト人の一派、と言うわけさ…そう言うと、ロクサーヌはなるほど、と頷いた。
 
 横で聞いていたハーフェズが面白そうに、俺はトルコ人だからイイとして、マルコ、お前はどうなんだ、と尋ねてくる。

 私は、俺は生粋のイタリア人だからな、ラテン人、つまりはローマ人の末裔って訳よ、と答える。

 ロクサーヌが手を打って、それでは私と船長は生まれからして敵同士、と言うことですね、と澄まして言った。

 私はハーフェズと顔を見合わせ、そして肩をすくめた。

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by Nijyuurou | 2008-11-11 22:40 | 『死者の祭りに日が暮れて』

『昔話に想いをはせて』

ダブリン。
曇り、北の風。

グレン>…ドルイドって言葉を聴いたことがあるかい?

 古い友人はそう言った。
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 私達はロンドンでハロウィンの仮装を探すうち、何故か考古学者の手伝いをする羽目になっていた。

 ロンドンの司祭の紹介でここダブリンを訪れ、問題の考古学者に会ってみたのだが…。

 
 このグレンという考古学者…私の大学時代の知り合いだったというわけだ。


 最後に会ってから、もうずいぶんになるが、立派な学者になったものだと思う。
  


 何となく眩しい感じがするから、不思議なものだ…。

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by Nijyuurou | 2008-11-09 21:03 | 『死者の祭りに日が暮れて』

『古い友との再会に』

ロンドン。

晴天、北の風。


ハロウィン司祭>おお! クライドの様子はいかがでしたか? ふむふむ。そうですか。せっかくの試みだったんですが残念ですね…。でもまたきっと来年があり…

 言いかけた司祭の口を、ハーフェズが慌てて塞ぐ。

 冗談ではない、ここで来年に話を繋がれたのでは、ボイン渓谷間違い無しである。

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by Nijyuurou | 2008-11-06 00:20 | 『死者の祭りに日が暮れて』
アムステルダム。

晴天、北の風。
 
 戻ってみると、クライドはハーフェズと険悪な表情で向かい合っていた。 
 
 どうやら先ほどの続きをまだやっていたらしい。

 少々呆れつつ、仕立屋の言葉を伝えると、クライドは顔色を変えた。

クライド>ええ!? お蔵入りですって…!? あ~私がまごまごしているからこんなことに…、どうしたらいいでしょう?

 そう言って頭を抱えたが、困っているのは私も同じ事だ。 

 何かいい手はないかと尋ねると、クライドはしばらく考えてから口を開いた。

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by Nijyuurou | 2008-11-04 23:46 | 『死者の祭りに日が暮れて』

『風吹く北の港へ』

ロンドン。

霧、無風。
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 司祭が、したり顔で講釈を始めた。

 もともと、ハロウィンは古代ケルト人の新年の祭りだった、と言う話だろう。

 私だって、まあ、それくらいは知っている。

 私は小さく欠伸をかみ殺し、ふと隣をみるとハーフェズが船を漕いでいた。

 ロクサーヌだけが、目を輝かせて、あれこれ司祭に質問している

 冒険、と言うには、あまりにも生温い話だが、まあ、これでロクサーヌが満足するなら、それも良いだろう。
 
 私はもう一度欠伸をかみ殺した。


 …もともと、有名なロンドンのハロウィンに行ってみようと言い始めたのはロクサーヌだった。
 毎年この時期になると、様々な行事を執り行っているのだが、今年は仮装用の衣装を配るという計画があるのだという。

 その衣装をもらいに行こう、と言うのである。

 だが、この手の季節物のはやりの衣装というのは、少し立つと意外と安い値段で市場に出回る物だ。

 …幸い、資金は珍しく有り余っている。

 私は少々横着な気持ちになって、質流れ品を買わないか、とロクサーヌに提案したが、その途端彼女は、アデイルちゃんと約束したじゃないですか、と泣きそうな顔になった……。

 …それをいわれると、私も弱い。

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by Nijyuurou | 2008-11-03 18:32 | 『死者の祭りに日が暮れて』