『八卦』
2008年 09月 06日
9月5日、リスボン。
それで、その祈祷師はどこにいるんだ?ひょっとして、またラサまでもどれってのか?
私はこめかみを引きつらせながらハーフェズにそう尋ねた。
ハーフェズはラム酒を口に運びながら、首を横に振り、いや、お前の後ろにいる、と答える。
何だとう、と答えて振り返ると……
そこには、怪しげな民族衣装に身を包んだ、まだ子供と言ってもいい少女が立っていた。
私は再びこめかみを引きつらせ、ハーフェズに、あれのどこが祈祷師なんだ、と迫ったが、ハーフェズは、どこからどう見ても祈祷師じゃないか、と言い張る。
ドゥルシネアは、最近リスボンの街の女の子には評判なのよ、と頷く。
私は、いかがわしいものを見る目を祈祷師の方に向けた。
なるほど、言われてみれば客らしき女性が何人も祈祷師を取り巻いている。
確かに、繁盛しているかといえば、繁盛しているようだが……。
と…。
そっちの方を見ていると、目があった。
やばい。
私は本能的に目を逸らしたが、祈祷師は、そこのおじさん!とこちらの方に近寄ってくる。
……おじさん。
……。
何だ、ハーフェズのことか。
そう強弁しようと思ったのだが、やはり私だった……。
祈祷師は、何か悩み事があるんでしょ、と私に近寄ってきて、
放浪の祈祷師>どんな依頼か言ってごらん。このあたしの手にかかれば何でもみえちゃうからね
とにかく凄い自信でそういった。
………大変不安である。
しばし、胡乱げな目を祈祷師に向けていると、ドゥルシネアが、占ってもらいなよ、船長、と無責任に拍手を飛ばしてきた。
私はもう面倒くさくなって、へえへえ、と気の無い返答をして、財布を取り出した。
どうせ金を取るんだろう……。
ところが、祈祷師はそれを制して、
放浪の祈祷師>手数料としてフルーツの盛り合わせを1個あたしに献上するのが掟だよ
と言う。
………ますます胡乱な奴だ。
…私は、もう完全に投げやりな持ちになって、ちょうどテーブルの上に置いてあったフルーツの盛り合わせを持って来ると、祈祷師の手に押しつけた。
………………うほほ…………。
私はおそらく苦虫を噛みつぶしたような顔をしていただろうが、ハーフェズはなかなかにお気に召したようで、可愛い祈祷師じゃないか、等とほざいている。
これまでにもいろいろと難しい依頼もあったが、いまだかつて、こんな迷走の仕方をした依頼があっただろうか…。
私が遠い目でそんなことを考えていると、祈祷師の祈祷(?)は終わっていたようで、
放浪の祈祷師>やぁーーッ!! はりゃーーッ!! ……ふむ、みえてきたよ。なんだか強烈な怨念を感じるね…。男の深い憎悪と女の悲痛な叫び…。
と、有り難い言葉をくださった。
さらに、
放浪の祈祷師>…ここからすぐ近くの街…。埠頭に老人の姿がみえる…。その老人なら何か知ってるかもしれぬ…。はぁーーッ!! ふぅ~~
……妙に具体的な結果が出て、少々意外な感じはする。
占いなどと言うものは、もうちょっと抽象的でどうとでも取れる結論しか出ないものだが……。
…リスボンの近くで、埠頭のある街、と言えば、まず間違いなくオポルトだ。
間違いないのか、と尋ねる私に、祈祷師は信じるものは救われる、と力強く頷いて見せた。
私は一つ溜息を吐いた。
どうする、とハーフェズが尋ねてくる。
他にあてもないからな、と私は答え、ドゥルシネアに出航の準備を命じた。
<ルール・祈祷師も非科学的である>
それで、その祈祷師はどこにいるんだ?ひょっとして、またラサまでもどれってのか?
私はこめかみを引きつらせながらハーフェズにそう尋ねた。
ハーフェズはラム酒を口に運びながら、首を横に振り、いや、お前の後ろにいる、と答える。
何だとう、と答えて振り返ると……
そこには、怪しげな民族衣装に身を包んだ、まだ子供と言ってもいい少女が立っていた。
私は再びこめかみを引きつらせ、ハーフェズに、あれのどこが祈祷師なんだ、と迫ったが、ハーフェズは、どこからどう見ても祈祷師じゃないか、と言い張る。
ドゥルシネアは、最近リスボンの街の女の子には評判なのよ、と頷く。
私は、いかがわしいものを見る目を祈祷師の方に向けた。
なるほど、言われてみれば客らしき女性が何人も祈祷師を取り巻いている。
確かに、繁盛しているかといえば、繁盛しているようだが……。
と…。
そっちの方を見ていると、目があった。
やばい。
私は本能的に目を逸らしたが、祈祷師は、そこのおじさん!とこちらの方に近寄ってくる。
……おじさん。
……。
何だ、ハーフェズのことか。
そう強弁しようと思ったのだが、やはり私だった……。
祈祷師は、何か悩み事があるんでしょ、と私に近寄ってきて、
放浪の祈祷師>どんな依頼か言ってごらん。このあたしの手にかかれば何でもみえちゃうからね
とにかく凄い自信でそういった。
………大変不安である。
しばし、胡乱げな目を祈祷師に向けていると、ドゥルシネアが、占ってもらいなよ、船長、と無責任に拍手を飛ばしてきた。
私はもう面倒くさくなって、へえへえ、と気の無い返答をして、財布を取り出した。
どうせ金を取るんだろう……。
ところが、祈祷師はそれを制して、
放浪の祈祷師>手数料としてフルーツの盛り合わせを1個あたしに献上するのが掟だよ
と言う。
………ますます胡乱な奴だ。
…私は、もう完全に投げやりな持ちになって、ちょうどテーブルの上に置いてあったフルーツの盛り合わせを持って来ると、祈祷師の手に押しつけた。
………………うほほ…………。
私はおそらく苦虫を噛みつぶしたような顔をしていただろうが、ハーフェズはなかなかにお気に召したようで、可愛い祈祷師じゃないか、等とほざいている。
これまでにもいろいろと難しい依頼もあったが、いまだかつて、こんな迷走の仕方をした依頼があっただろうか…。
私が遠い目でそんなことを考えていると、祈祷師の祈祷(?)は終わっていたようで、
放浪の祈祷師>やぁーーッ!! はりゃーーッ!! ……ふむ、みえてきたよ。なんだか強烈な怨念を感じるね…。男の深い憎悪と女の悲痛な叫び…。
と、有り難い言葉をくださった。
さらに、
放浪の祈祷師>…ここからすぐ近くの街…。埠頭に老人の姿がみえる…。その老人なら何か知ってるかもしれぬ…。はぁーーッ!! ふぅ~~
……妙に具体的な結果が出て、少々意外な感じはする。
占いなどと言うものは、もうちょっと抽象的でどうとでも取れる結論しか出ないものだが……。
…リスボンの近くで、埠頭のある街、と言えば、まず間違いなくオポルトだ。
間違いないのか、と尋ねる私に、祈祷師は信じるものは救われる、と力強く頷いて見せた。
私は一つ溜息を吐いた。
どうする、とハーフェズが尋ねてくる。
他にあてもないからな、と私は答え、ドゥルシネアに出航の準備を命じた。
<ルール・祈祷師も非科学的である>
by Nijyuurou
| 2008-09-06 23:33
| 『アゾレスの亡霊』