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大航海時代online Boreasサーバー  マルコの航海日誌


by Nijyuurou
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『八卦』

9月5日、リスボン。

 それで、その祈祷師はどこにいるんだ?ひょっとして、またラサまでもどれってのか?

 私はこめかみを引きつらせながらハーフェズにそう尋ねた。
 ハーフェズはラム酒を口に運びながら、首を横に振り、いや、お前の後ろにいる、と答える。 
 何だとう、と答えて振り返ると……


 



 そこには、怪しげな民族衣装に身を包んだ、まだ子供と言ってもいい少女が立っていた。
『八卦』_c0124516_23325192.jpg
 
 私は再びこめかみを引きつらせ、ハーフェズに、あれのどこが祈祷師なんだ、と迫ったが、ハーフェズは、どこからどう見ても祈祷師じゃないか、と言い張る。
 ドゥルシネアは、最近リスボンの街の女の子には評判なのよ、と頷く。

 私は、いかがわしいものを見る目を祈祷師の方に向けた。

 なるほど、言われてみれば客らしき女性が何人も祈祷師を取り巻いている。
 確かに、繁盛しているかといえば、繁盛しているようだが……。

 と…。

 そっちの方を見ていると、目があった。

 やばい。

 私は本能的に目を逸らしたが、祈祷師は、そこのおじさん!とこちらの方に近寄ってくる。

 ……おじさん。

 ……。

 何だ、ハーフェズのことか。
 そう強弁しようと思ったのだが、やはり私だった……。

 祈祷師は、何か悩み事があるんでしょ、と私に近寄ってきて、

放浪の祈祷師>どんな依頼か言ってごらん。このあたしの手にかかれば何でもみえちゃうからね

 とにかく凄い自信でそういった。

 ………大変不安である。
 しばし、胡乱げな目を祈祷師に向けていると、ドゥルシネアが、占ってもらいなよ、船長、と無責任に拍手を飛ばしてきた。
 
 私はもう面倒くさくなって、へえへえ、と気の無い返答をして、財布を取り出した。
 どうせ金を取るんだろう……。

 ところが、祈祷師はそれを制して、

放浪の祈祷師>手数料としてフルーツの盛り合わせを1個あたしに献上するのが掟だよ
 
 と言う。

 ………ますます胡乱な奴だ。
 …私は、もう完全に投げやりな持ちになって、ちょうどテーブルの上に置いてあったフルーツの盛り合わせを持って来ると、祈祷師の手に押しつけた。
『八卦』_c0124516_23331354.jpg

 ………………うほほ…………。

 私はおそらく苦虫を噛みつぶしたような顔をしていただろうが、ハーフェズはなかなかにお気に召したようで、可愛い祈祷師じゃないか、等とほざいている。


 これまでにもいろいろと難しい依頼もあったが、いまだかつて、こんな迷走の仕方をした依頼があっただろうか…。
 私が遠い目でそんなことを考えていると、祈祷師の祈祷(?)は終わっていたようで、

放浪の祈祷師>やぁーーッ!! はりゃーーッ!! ……ふむ、みえてきたよ。なんだか強烈な怨念を感じるね…。男の深い憎悪と女の悲痛な叫び…。

 と、有り難い言葉をくださった。
 さらに、

放浪の祈祷師>…ここからすぐ近くの街…。埠頭に老人の姿がみえる…。その老人なら何か知ってるかもしれぬ…。はぁーーッ!! ふぅ~~

 ……妙に具体的な結果が出て、少々意外な感じはする。
 占いなどと言うものは、もうちょっと抽象的でどうとでも取れる結論しか出ないものだが……。

 …リスボンの近くで、埠頭のある街、と言えば、まず間違いなくオポルトだ。
 
 間違いないのか、と尋ねる私に、祈祷師は信じるものは救われる、と力強く頷いて見せた。

 私は一つ溜息を吐いた。

 どうする、とハーフェズが尋ねてくる。

 他にあてもないからな、と私は答え、ドゥルシネアに出航の準備を命じた。

 
<ルール・祈祷師も非科学的である>
by Nijyuurou | 2008-09-06 23:33 | 『アゾレスの亡霊』